白檀扇子(檀香扇)の紹介

◆扇子商品一覧◆

中国で扇子といえば、中国の蘇州が産地として有名です。
特に、とてもいい香りがする木「白檀(びゃくだん)」を使用した檀香扇(たんしゃんせん)が有名ですね。
その他にも、黒檀や紫檀などの上質な木材を使用した扇子も作られています。

各種扇子は、元の木の材質を活かすように作られていますが、「値段がバラバラだけど、どこが違うの?」というお客様の声にお答えして、ここで木材の材質や特徴をまとめてみたいと思います。

中国のお土産に白檀の扇子を貰いましたよ」という方、その扇子、良く見ると表面が結構ザラザラしてたり、やけに香りがキツかったりしませんか?
実は、その扇子は.....という事もあります。
お手元に扇子をご用意して読み進めてください。意外な発見があるかも?しれませんよ。

(最終更新:2022年03月)


白檀

<白檀(びゃくだん)>

※ 写真左端は定規の一ミリ目盛りです
別名:サンダルウッド、栴檀
学名:Santalum album

白檀は扇子の材料として一番有名なですね。
木材自体から、とてもいい香りがします。
お香の原料としても良く使われますよ。
木材として利用できるまでに三十年程度かかり、成熟した樹でも高さはせいぜい10メートル程度。相当大きく育っても、高さ15m、直径30cmくらいです。
インド、タイ、インドネシア、マレーシア、東南アジア、オーストラリア、フィジーなどに分布しています。
インドのマイソール(迈索尔、Mysore)地区で産出する白檀が最高級品とされ、「老山白檀」 という別称で呼ばれています。

木材の中央部分(心材)は香りが強く、周辺(辺材)に行くにつれて香りは弱くなります。
また、根っこ部分も香りが良いので重宝されます。

中国では、産地と等級により、以下のような名前を付けて区別しています。
老山香(インド)
新山香(オーストラリア)
地門香(東南アジア)
雪梨香(ハワイ等の太平洋島国)

品質(香りの良さ)は、おおよそ以下のようになります。
老山白檀>インド>インドネシア>その他東南アジア>ハワイ、ニュージーランド、オーストラリア等
 ※ ハワイ、ニュージーランド等のものは、香りが弱く木色が白っぽいため、扇子には向きません。

どの産地の白檀を使用するかが、同じ白檀扇子でも価格が大きく変わることの一因になっています。
当店の檀香扇は2008年から2013年にかけて販売したものはインド産の白檀、2014年以降はインド産およびインドネシア産の白檀を使用しています。
(全ての白檀扇子に、白檀の産地を明記していますのでご安心ください)

現在インドでも伐採過多のためインド政府による伐採制限・輸出制限がかけられており、入手はとても困難で値段も非常に高騰しています。
僅かに残る白檀原木も、(インドからの輸入ではなく)大半が中国国内の流通在庫です。
そして、残念ながらニセモノの白檀扇子が数多く出回っているのが現状です。
(木材価格やニセモノについては、ページ下部にて説明しています)

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※ 紫檀については、日本と中国共に、名称が混在して不明確に使われています。できる限り情報を集めていますが、部分的に不正確な可能性がある事をご理解下さい。

紫檀 <紫檀(したん)-小叶紫檀->
別名:ローズウッド、檀香紫檀、Redsander Wood
学名:Pterocarpus santalinus

小叶紫檀は、木の総称ではなく、1つの木を指しています。
日本では紅木(コウキ)と呼ばれ、以前は三味線にも利用されていました。
(現在は流通量と価格の高騰により、日本国内ではほぼ流通していません)

熱帯や亜熱帯地方で産出され、中でもインド産が最高級とされています。
成熟した木で高さ20m、直径20cmほど。
現在は伐採、輸出入が保護・規制されています。

さらに、中国では「十檀九空」と言われます。
つまり、「紫檀の木材が10本あれば9本は中に空洞がある」のです。木材として乾燥させるうちに空洞が出来たり、湾曲していく物もあります。
...こう説明すると、大型の紫檀木材の希少性がお分かりいただけるかと思います。
テーブルとイスの家具セットで、「家が建つ値段」という事も十分にありますよ。

ちなみに、名前の「小叶」とは、小さな葉っぱという意味です。 木材として使える割合がとても少ない(上記の十檀九空の為)事もあり、小叶という言葉を冠して呼ばれるようになったようです。

代表的な特徴は以下の通り。
・空気に触れると色が濃く深くなっていく
・紙などでスッと擦ると、紙に紫檀の色が付く
・表面に細かい線状の模様が入る

※ 上記3点の特徴があれば必ず小叶紫檀だ、とは言い切れません。表面の滑らかさ、重さ、価格等から、総合的に判断する必要があります。

<紫檀(したん)-大叶紫檀->
別名:ローズウッド、玫瑰(メイグイ)檀、鸡丝檀
学名:木の総称のため特定不可
※ 1つの木の品種を指すのでは無く、木の総称として使われている点に注意が必要です。

「ローズウッド」の別名を持つ高級木材です。
伐採過多のため供給量が非常に少なくなった小叶紫檀の代わりに使われるようになった経緯があります。

主に南アフリカのマダガスカル諸島で産地される「盧氏黒黄檀」の事を指します。
当店の扇子に使用しているのも、別名が玫瑰(メイグイ)檀と呼ばれるこの紫檀です。
「玫瑰」とは、バラの事です。木材の色合いから付けられた別名ですね。

1996年ごろに中国に伝わった、まだ新しい木材で、小叶紫檀に近い特徴を持ちます。
(小叶紫檀の3つの特徴をほぼ全て持ち合わせています)
切って間もない木材は、ちょっと酸味のある香りがするのが特徴。
小叶紫檀と同様、時間の経過と共にゆっくりと暗紫色に色が変わっていきます。

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黒檀 <黒檀(こくたん)>
別名:烏木(うぼく)
学名:木の総称のため特定不可

中国では「烏木(ウームー)」と呼ばれています。烏(カラス)のように真っ黒な木、という意味ですね。
熱帯を中心に、アフリカ、インド、インドネシア、スリランカ、タイ、ベトナム...と各地に分布しています。
産地によって「印度烏木」「台湾烏木」という呼び方をする場合もあるようです。

成熟した黒檀の樹は高さ25m、直径1mにもなるのですが、成長がとても遅いのが特徴です。
(この「成長の遅さ」が、木材としてのきめ細かさや固さに影響するのですけどね)
黒檀は白檀と異なり、芳香はありません。

よく耳にする「黒檀」も、実際はかなり細分化されており、真っ黒のものは本黒檀(烏木)、縞模様のものは縞黒檀(条紋烏木)などと、いろいろな○○黒檀というものが存在します。

当店の黒檀扇子には、真っ黒な「本黒檀(ほんこくたん)」を使用しています。
全ての黒檀に共通する特徴は、「とても硬くて重い」という事です。木材価格としては紫檀よりは下ですが、黒檀も立派な高級木材です。
紫檀同様、家具や仏壇に用いられます。

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紅檀 <紅檀(ほんたん)> 別名:紅木
学名:木の総称のため特定不可

「紅檀」というのは、木の名称ではなく、木の総称です。以前から中国の家具などに使用されてきた木材の総称として使われています。

当店の扇子に使用している紅檀は、新しい木材としてインドネシアから輸入した木材を使用しています。
白檀には及びませんが、芳香がある木材です。
木材価格も、黒檀と同程度の価格なので、高級木材と呼べる部類のものです。

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<本物の白檀扇子の見分け方とニセモノについて>

 ここで、みなさんお待ちかね(?)のニセモノ(偽者)白檀扇子についてお話したいと思います。
まず、こちらの写真をご覧ください。(別ウインドウで開きます)

これは白檀か紅檀の扇子ですね」と思った方、残念ですがこれはニセモノの白檀扇子です
本物の白檀扇子はこちらの写真です。(別ウインドウで開きます)

よく見比べてみると、本物の方が色が鮮やかで表面も滑らかなのが写真でも分かりますね。
写真では伝わらないのが残念ですが、ニセモノは相当強い香料を付けてあるので白檀「風」の強烈な香りがします。
本物の白檀扇子は、ほんわりと上品な香りがします
本物の白檀扇子であれば、箱を開けた瞬間に強烈な香りが部屋中に広がる...という事はありません。

ちなみにこのニセモノは、中国各地のおみやげ屋さんで売られています。お値段は日本円で500-2000円程度です。この値段で本物の白檀という事はまずありえません。
上で紹介した偽物写真の扇子は、ミャンマー産の安価な木材を用いて作ってあります。
店員さんにきちんと聞けば「白檀ではないですよ」と教えてくれる店もありますが、「本物の白檀だ」と言って平然と売っている店もあります。お気を付けて..

日本で販売している白檀扇子。色々なお店で売っていますが、全て本物でしょうか?
答えは、ノーです。

日本に流通している(といっても今は滅多に見かけません)白檀扇子は、中国で作られたものと日本国内で作られたもので大半を占めています。
日本の老舗扇子店などで扱っている白檀扇子は比較的本物である可能性が高いかと思いますが、気をつけるべきは「中国のお土産サイト」「オークション」などで販売されている、数千円程度の扇子です。
 良く見ると「白檀の香りのする木」と書かれていたり、素材として白檀ではなく「木」と書かれている場合もあります。
 (白檀と明記してあっても値段的にアヤシイですけどね...)
 こういった扇子は、必ず購入前に確認をしてみてください。「本物の白檀ですか?」そして、「どの国の白檀ですか?」と。
 困った事に、販売主も本物かどうか知らない場合が結構あるようです。
  (白檀として仕入れたから白檀として売る、何の木か分からないけどたぶん白檀だよね、みたいな感じです)

当店の白檀扇子は、全てインド産白檀を使用しています。
ただし、最近インドから輸出された物ではなく、中国国内在庫のインド産白檀を使用しています。

2022年現在、インドからの白檀輸出はほぼ皆無といってもいい状況です。
つまり、自然と白檀の木材価格も年々高騰しています。
2014年以降は、(インド産白檀がほぼ入手できない為)インドネシア産の良質な白檀を使用した扇子も販売しています。

...参考までに、インド産白檀の市場参考価格をご紹介します。(2009年以降は当時の為替レートを使い日本円換算しています)
1980年:1トン 30万元程度
2009年:1トン3000万円程度
2010年:1トン3500万円程度
2011年:1トン6500万円程度
2018年:1トン9000万円程度

1トンというとかなりの量ですが、当然芯材だけではなく辺材も含まれているので、実際に使える部分は更に少なくなります。
インド産白檀は値段も高く、入手することすら困難になっているのが現状です。
そして2014年、ついに扇子の製造元でも良質なインド産白檀が確保できませんでした。
そのため、近年はインドネシア産の高品質な白檀(2014年当時:1トン5500万円程度)を使用した白檀扇子も販売しています。

この状況下では、(新品の)インド産白檀扇子が1本数千円で手に入ることはありえないとお分かりいただけるのではないでしょうか?
オークションやwebショップで販売している廉価品は、大部分が『白檀風の扇子』であり白檀ではありません。
『本物の良い白檀は、相応の値段である』という事を覚えていただければ幸いです。

2018年6月、とても品質の良い白檀扇子を20本少々、蘇州にある馴染みの老字号(老舗)にて入荷する事ができました。
(事務所移転時の在庫整理にて発掘された掘り出し物!)
これだけ質の良い扇子をこの数入荷できるのはおそらく最後になるかと思います..
夏が終わってもセールなどは行いませんので、良い品をお探しの方はお早めにどうぞ。

2019年は製造元に在庫が無く入荷見送り、2020-2022年はコロナの影響で現地に行くことが出来ず入荷無しとなっています。

注意 本物の白檀を使用した扇子でも、産出国や使用した木材の部位によっては品質と価格が大きく変化します。
そういった「訳あり品」ならば、正式な物と比べて安価な価格で販売している可能性はあります。

当店「華蔵(はなくら)」の実店舗にご来店していただければ、店主が本物とニセモノの現物を実際にお見せして説明いたしますので、ご来店の際にお気軽に声をおかけください。

◆→白檀・紫檀・黒檀・紅檀扇子 一覧はコチラ◆

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